ハンドメイドマーケットプレイスは、個人で自由にハンドメイド作品をネット販売や購入できるネットサービス。
有名どころは、Etsy、Creema(クリーマ)、minne(ミンネ)といったところでしょうか。
ハンドメイドを売ろうと思ったら、まずはこのようなハンドメイドマーケットプレイスを利用することを考えると思います。
でもハンドメイドマーケットプレイスの運営って、実はかなり難しい。儲けを出しにくい構造を持っているんです。
儲けを出しにくいから、サービスをストップしたり大手に吸収されたりと、統廃合も多くあります。
最近はハンドメイドというだけではなかなか売れない時代なので、今後はさらにハンドメイドマーケットプレイスのサービスは厳しくなっていくのではないでしょうか。
15年ほどハンドメイドマーケットプレイスを運営した経験から、ハンドメイドマーケットプレイスのビジネスモデルを考察したいと思います。
ハンドメイドマーケットプレイスを運営する条件
豊富な品揃え
「いかに品揃えを豊富にするか」
これはハンドメイドマーケットプレイスだけではなく、すべてのネットショップに言えることです。
品揃えがしっかりしていないショップでは、売れるものが限られてしまいます。
大手のネットショップのRakutenやAmazonも品揃えが多いので、多くの人が買い物に訪れます。
それと同じ様に、ハンドメイドマーケットプレイスもまずは品揃えを確保することが最重要課題になってきます。
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ハンドメイドマーケットプレイスの好循環の仕組み
ポイント
品揃えがよくなる
検索にヒットする確率が増える
アクセスが上昇する
作品の露出が増える
購入率が上がる
手数料儲かる
システムや販促に投資できる
作家さん喜ぶ
品揃えが増える
最初に戻る
どのハンドメイドマーケットも、この好循環の仕組みをうまく回し続けることを課題にしていると思います。
品揃えが増えれば、それだけ検索エンジンにひっかかる回数も増えます。
そうなれば、より多くの人に作品を露出でき、その結果作品が売れるようになります。
作品が売れれば、販売手数料がサービスの運営体に入ってきます。
たくさんの販売手数料が入ってくれば、システムや販売促進に投資できます。
使い勝手の良いWEBサイトを作ったり、大手百貨店とタイアップしたり、大きな会場でハンドメイド展を企画できるようになるのです。
その結果、作家も喜びます。もっと作品を売りたい!と思うようになります。
出品したい作家さんも増えます。
だからさらに品揃えが増える、という好循環なサイクルになるのです。
このサイクルをうまく回すために、どのサイトもまずは出品者(作家さん)を増やすことをがんばっています。
そのため、どのサイトも出品料を引き下げるなど、出品者を多く確保しようとしています。
これがうまくまわっていればいいのですが、思ったより作家さんが増えないなど、ひとつでも歯車が狂えば転落の運命となります。
一筋縄では行かないんですよね。
規模の大きさ勝負
ハンドメイドマーケットプレイズがまず最初に狙うのが、規模を拡大して品揃えを圧倒的に増やすことです。
これには、システムの開発・維持や出品者獲得のための費用など多額の資本が必要になります。
他サイトと横並びではなく、1番でかいサイトにならないと競合サイトに勝てないので、資本力がものを言います。
販売手数料が生命線
ハンドメイドマーケットプレイスは、販売手数料をメインの収益源にしているところがほとんどです。販売手数料で稼ぐビジネスモデルです。
販売手数料の他に出店料もあります。
でも、たくさんの出品者に登録して作品を販売してもらうためにも、多くのサービスでは出店料を無料にするか、できるかぎる低くするしかありません。
まずは出店してもらわないと始まらないので、出店するハードルをできる限り低くしようとしているのです。
そのためになんとか販売手数料に頼らざるを得なくなってきます。
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ハンドメイドマーケットプレイス運営のジレンマ
販売手数料といっても、ハンドメイド品なので単価が低いのがネックです。
手に取ったことのないものをネットの写真だけで判断して、何万円も出すことは無いですよね。高くて5~6千円ぐらい、平均して3千円から4千円ぐらいじゃないでしょうか。
だいたい販売手数料は、どのサービスも10~15%あたりでしょうか。
一桁のサイトもありますが。まあ、計算しやすいように10%にして計算してみましょう。
例えば、5,000円売れたら、手数料10%ですから、単純に計算すると500円がマーケットプレイスに入るわけです。
マーケットプレイスは、作品を販売する入れ物を用意するだけで、10%の売上が入ってくるんです。そう考えるとけっこう美味しいビジネスかもしれません。
でも実際にマーケットプレイスを運営するとなると、かなりの費用が毎日かかります。
システムを維持する費用やスタッフの給料、トラブルへの対応、販売促進の費用などなど、毎日莫大な金額がかかります。
500円の手数料ではとうてい賄えません。
ではどうするかというと、もっと回数を増やす必要があります。
もっとたくさんの人にもっとたくさんの作品を買ってもらわないと、運営する費用が捻出できなくなるのです。
サービス全体での売上高が増えても、システムを維持するお金や宣伝費がかさむため、運営側に入るお金がなかなか増えない構図にあるんです。難しいですよね。
やっぱり販売単価を上げるしか無いんですけど、お客さんは、ネットの写真だけでなかなか大金を払う気にはならないのです。
どのサービスも、こうした構図を突破するために販売単価を上げるように努力していますが、思ったように成果がでてきません。
それはやっぱりハンドメイド作品の持つ特性なのでしょうがないのでしょうね。
利益を出すのが難しい構造にある
こちらのブログ「ベンチャー企業やスタートアップ企業の決算を調べるブログ」では、CREEMA第7期の決算発表によると、当期純損失は、416,819千円。
つまり、4億円の赤字を出していますね。
まあ、こう競合が乱立している状況を考えれば、利益を出すよりもまずは知名度や出品者を増やすことを優先する考えかもしれません。
でも、多くの開発者を抱えて、そんなにガンガン売れないのに実入りが少ないのを考えると、利益を出すのは難しいのかもしれないです。まあ、それが現状ですね。
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イベント開催で集客に頼る
ネットだけでは食えないのか、主要なハンドメイドマーケットプレイスは百貨店やイベントホールでイベントやっていますね。
目的としては、ハンドメイド作品好きな人を呼び込むこと、それから出品者にもっと作品を売って欲しいからです。お客さんとしても現物を見てから買いたいですからね。
でも実は、ネットでやるよりイベントしたほうが、出品者からの出展料で簡単に現金が入るのも事実です。
さらに、華やかなイベントをやることで、多くの作家さんを惹きつけられますしね。サイトとしても、現金を稼ぎやすいし、出品者を獲得しやすいし、お客様も呼び込めます。良いことづくめ。
でも、会場費を考えれば、赤字を補填できるくらいの利益は出ないだろうと推測します。
宣伝の一環ですね。
これができるのは、やはりお金がたくさんある大手のサイトでしょう。お金のない中途半端なサイトは今後どんどん淘汰されていくと思われます。
ハンドメイドマーケットプレイスに出展するなら、一番大きなところを選ぶのが良いと思います。
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新型コロナの影響でイベント開催も難しい
新型コロナウイルスの影響が長引けば、大きなイベントは今後開催しにくくなるでしょう。
開催できても、対策費用も余分にかかります。
イベントを開催して、集客を増やしたいハンドメイドマーケットプレイスにしてはかなり痛い状況であると推測します。
市場再編も近い?
競合サイトが増え過ぎて、出品者の取り合いになり、利益が出ないとなれば、そのうち、市場再編が起きるでしょうね。
そういえば、docomoが鳴り物入りでスタートさせたdクリエイターズもH28年6月で終了してますね。ユザワヤマーケットも同年10月に終了してます。
最近では、ハンズ・ギャラリーマーケットが2020年12月24日で終了。残念です。
tetoteは、最初アメブロを運営しているサイバーエージェントが運営していましたが、現在はGMOグループのGMOペパポが運営してますね。
そういえば、minneもGMOペパポが運営していますね。
GMOグループ内でふたつもハンドメイドマーケットプレイスを抱え込んでいる意味があるのでしょうかね。2つとも赤字ですし。
資金力があるとはいえ上場会社なので、いつまでも放っておくわけにはいかないでしょうね。正念場かもしれません。
やはり放っておくことは難しかったようです。tetoteは、2018年6月にminneに統合されることが決まりました。
最終的には、minneとクリーマの2社が残るのでは無いでしょうか?
minneとクリーマを比較すると、GMOがバックに付いているminneの方が有利だとは思います。
ハンドメイドマーケットプレイス運営のリスク
配送から先はマーケットプレイス側で管理できない
なんといっても一番のボトルネックは、配送や顧客対応が出店者自身が行うというところにあると思います。
マーケットプレイスの運営者が、顧客対応まで責任持てないのです。
これは一見、マーケットプレイスを運営する側にしてみれば良いような話に聞こえます。でも、実際このポイントが最大のボトルネックとなり、サイト運営の規模拡大を妨げているのです。
つまりこういうことです。
サイトの規模を拡大していけばいくほど、売れない人と売れる人の差が出てきます。売れる人はガンガン売れるけど、売れない人はさっぱりといった感じに2極化します。
そして、サイトを拡大するために出店料を無料化しているため、自分が作品を出品していることを忘れてしまうのです。
つまり、売れないことに慣れてしまって、注文があってもほったらかしになるのです。
こうなるとクレームはマーケットプレイス側に来ます。でも、クレームが来た時点で出品者に連絡を取ろうにも登録した情報では連絡が取れなくなっていることも多いんです。
これを防止するには、出店料を毎月徴収するしかないと思います。毎月徴収していれば、出品者は自分が販売しているということに自覚的になります。出店料がゼロであれば、出品者はいつしか自分が出品していることすら忘れてしまうからです。
実は、私の運営していたサイトは出品料無料にしていたので、この罠にハマってしまっていました。
また、出店料無料にすると、出品者が増えて作品も増えていきますが、クオリティがそんなに高くない作品も増えます。
これはお客さんにはそんなにありがたくない話です。サイトの規模と作品のクオリティ、サービスのクオリティのバランスをうまく取る必要があるのです。
でも、マーケットプレイスとしては販売する商品も選べず、顧客対応でサービス品質も上げられないので、バランスを取るというのは、とっても難しい話になってしまうのです。恐ろしい・・・・・・。
作品クオリティのコントロールができない
ハンドメイドマーケットプレイスでは、作品を写真でしか判断できないため、作品の品質がどんなものか管理できません。
そのため、作品の品質には責任は取れないのです。(作品の品質については、クリエイター側で責任を負うことになります。)
マーケットプレイス側でいかに品質の高い作品を多く集めたいと思っていても、それを実現するのは実物の作品を送ってもらって、社員がいちいちチェックする必要があり、それはなかなか難しいのです。手間やコストがかかりすぎて、その分出展料や販売手数料を高く設定する必要があります。
簡単に出店料や手数料を上げられない
出店料や販売手数料は簡単には上げられません。マーケットプレイス側にしてみれば、値上げはしたいところですが、実際にやるとなるとかなり難しいです。
つまり、出店料が高ければ出品者が集まりません。出品者が集まらなければ、品揃えが悪くなります。品揃えが悪くなると、アクセスが減ります。そして、アクセスが減るとお客さんが減ります。
悪循環にはまるのです。頭の痛い話です。
ハンドメイドマーケットプレイスの今後はどうなる?
ネットでのハンドメイドマーケットって経営的にはかなり難しいと思います。
世界的に運営しているEtsyかPinkoiぐらい規模を大きくしないとペイしないかもしれません。とは言え、Etsyはアメリカのナスダック市場に上場していますけど、いまだに黒字化していませんし、株価も降下しています。
販売手数料数%で、世界的規模の販売マーケットシステムがペイできるのか疑問に思います。サーバーとかシステム開発とか顧客対応とか人件費含む固定費が膨れ上がりそうです。
マニアックなマーケットプレイスはそんなに伸びない
あと考えられるのは、お客さんターゲットを限定したマニアックなマーケットプレイスでしょう。
ゴシック系やアダルト系のハンドメイドマーケットは、有り得るかもしれないですが、同人レベルで推移して、それ以上にはならないでしょうね。
結局マーケットプレイスというビジネスモデル自体に限界が来ているのかもしれません。
クオリティを維持するための審査制度
サイトの規模と作品のクオリティ、サービスのクオリティのバランスをうまく取る必要があると書きましたが、クオリティを維持するためには、審査制の導入があります。iichiやPinkoiなどは審査ありますね。
出品するためにはまず審査をクリアする必要があるのですが、作家からするとこの審査が煩わしく感じてしまいます。
なんでマーケットプレイスの人から審査されなければならいのか、一体彼らが自分の作品の何をわかっているのか不明です。
それだったら、自分で自分のショップを作ればいいわけです。審査もなく、自由に販売できます。
出店料の値上げがカギ
競合サイトが追いつけないほど規模が大きくなれば、サイト経営の安定化を図るために出店料を値上げします。
この段階で出店料値上げに成功すれば、おそらく黒字化できると思います。ハンドメイドマーケットの運営のためには、適正な出店料が重要だと考えます。
適正な出店料に販売手数料をプラスすることで、安定的に利益が確保できるのです。
ハンドメイドマーケットプレイスの運営で利益を出すには、出店料がポイントになると思います。
とは言え、まずは多くの出店者を確保する必要があり、そのためには競合との差別化を図るために出店料を下げるか無料にするしかないという矛盾を抱えているのが現状なのです。
競合との競争に打ち勝ち、頭一つ抜け出すためには、資本力で耐えるしか無いかもしれません。
これから起こるであろうアート・ハンドメイド作品マーケットの再編を勝ち抜いたサイトは、出店料を上げることにより、大きな利益を上げることができます。
出店料を取られる側のクリエイターはたまったものじゃありませんが・・・・・・。
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長期的には自分の専用のショップを持ったほうが良い
ハンドメイドマーケットプレイスも企業ですから、利益がでなくなればいつかはサービスがなくなってしまうこともあり得ます。
ハンドメイドのブームも一段落して、ハンドメイドというだけでは売れなくなってきました。
今後はさらにハンドメイドマーケットプレイスの経営も難しくなり、閉鎖もしくは統廃合が進む可能性もあります。
このようなことを考えると、ハンドメイドマーケットプレイスに過度に依存して作品を売ることを考えるより、自分のショップを持ちながらハンドメイドマーケットを活用することを考えると良いと思います。
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今後もハンドメイドは無くならない
とはいえ、ハンドメイドがまったく売れなくなることはありません。
ハンドメイドの良さというものがあり、それが好きな人はたくさんいるのです。
今後は、量から質に移っていくと思います。
ハンドメイドを売るにも、質の高い作品が求められていくと思います。
つまり、一般的に売られているような工場で作ったような商品より以上の質の高さが求められるのです。
そうなればなるほど、作品制作技術をもっと磨く必要があるでしょう。
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